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神戸地方裁判所 平成6年(わ)531号 判決

本籍

兵庫県加西市青野町一四五番地

住居

同県明石市別所町一三番一号

職業

建築業 高見政秋

昭和五年六月七日生

この者に対する頭書被告事件につき、当裁判所は、検察官山本真千子・弁護人永井幸寿各出席のうえ審理し、次のとおり判決する(求刑、懲役二年及び罰金七〇〇〇万円)。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金六〇〇〇万円に処する。

この罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から四年間その懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、肩書住居において「高見工務店」の名称で建築業を営んでいる者であるが、自己の所得税を免れようと企て、次記何れの年分についても、架空の外注加工費を計上するなどの行為により、別紙記載のとおり各年分の所得の一部をそれぞれ秘匿したうえ、

第一  平成二年(一月一日~一二月三一日)分の総所得金額が一億八六〇九万九八五五円で、これに対する所得税額が八八六七万円であるのに、同三年三月一一日、所轄明石税務署(兵庫県明石市中崎一丁目六番一六号)に於て、同税務署長に対し、同二年分の総所得金額が六〇一五万一七九一円で、これに対する所得税額が二五六九万六〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の所得税六二九七万四〇〇〇円を免れ、

第二  平成三年(一月一日~一二月三一日)分の総所得金額が二億九九七二万〇五二二円で、これに対する所得税額が一億四五四九万五五〇〇円であるのに、同四年三月一三日、前記明石税務署に於て、同税務署長に対し、同三年分の総所得金額が一億四六一八万八二八二円で、これに対する所得税額が六八七二万九五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の所得税七六七六万六〇〇〇円を免れ、

第三  平成四年(一月一日~一二月三一日)分の総所得金額が三億一九一九万二九三〇円で、これに対する所得税額が一億五五一八万四〇〇〇円であるのに、同五年三月一〇日、前記明石税務署に於て、同税務署長に対し、同四年分の総所得金額が一億三五四三万九二八七円で、これに対する所得税額が六三三〇万七〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の所得税九一八七万七〇〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目-番号は検察官請求証拠番号)

全判示事実について

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書(34)

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問顛末書(24-33)

一、大蔵事務官作成の各査察官調査書(別紙証拠欄記載の各番号)

一、大蔵事務官作成の各脱税額計算書(1-3)

一、明石税務署長作成の各証明書(4-6)

一、収税官吏作成の「所轄税務署の所在地について」と題する書面(22)

(法令の摘要)

一、罰条(所得税法違反) 所得税法二三八条一項

一、刑種の選択 併科刑

一、罰金額の加重 所得税法二三八条二項

一、併合罪処理 懲役刑 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条

(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)

罰金刑 刑法四八条二項

一、労役場留置 刑法一八条

一、懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 小林秀和)

別紙

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